もの心ついた時から旅を重ね、全国の美術館を回ってきたユウヤ編集子のおすすめ旅情美術館。但し、一風変わってます。誰でも知っているありきたり のところは興味がないようです。
ユウヤ君より一言。 「僕がすすめるのは、おーっ、ここまで来てこんなアートを見るのか!といった 新鮮な感動がある美術館だ。僕の趣味で結構ユニークなもの、このサイトに合った 感じのものを、初心者の方にも分かりやすくご紹介しまーす。もっと他にこんなの あるでよ、と言いたい方はご遠慮なく、メールください」







ひとくちに信州(長野県)と言っても広い。広い中から、いい美術館を探すのは大変だ。長野新幹線や中央本線でアクセスできるが、現地は車があると便利。のんびり旅をするには路線バスもいい。

信濃デッサン館 (&無言館)

住所 長野県上田市東前山300

「信濃デッサン館」

「無言館」
(これで、むごんかん、と読む)
電話 0268−38−6599
行き方 長野新幹線で上田駅に出るのが便利。そこからバス。千曲バス、別所温泉行に乗って、前山寺入口で降りて、そこから歩き。15分位。車(高速)の場合は、上信越道の上田菅平ICで下りる。 いずれにせよ、分かりにくい場所のためよく地図を見て行って下さい。地元の人に聞いても分からない場合がある。駐車場はあります。
インフォメーション 開館時間 AM9:00〜PM:5:00(夏場は6時まで)
入館料 700円。小中学生350円。
   

 たまには、仕事のストレスから解放されて山あいの温泉に浸ってみたいものですね。 そうした旅の途中で、「ハッと」するような出会いがあるとなお良い。そこで今回は異色の美術館を紹介。
  信濃デッサン館は、夭折の画家の作品を展示。村山槐多、関根正二など。夭折とは若くして死んだということ。これをメインテーマとして見るよりも、素直に作品と向き合おう。なかなかいいぞ。オフシーズンに行くといいでしょう。 天井の高い空間に、密かに作品が浮かんでいるようで、どれか一作くらいは「ハッと」するものに出会うに違いない。

 で、ここを出たら、その足で近くの小高い丘の上にできた別館の「無言館」に行こう。順序としてはこの方がいいと思う。逆にするとどうかな。こちらは戦没画学生の作品を展示した「慰霊」の意味のある 美術館。そのメッセージそのものが強くて、いやでも反戦とか平和とか思わずにはいられないが、そこは冷静になって一枚一枚丁寧に見よう。 見るのが大変だったら、この田舎びた風景の中にこうした美術館があること自体に驚いて頂くだけでいい。また、入場料はあとで出口で、「気持ち」を払う。 あまり深く考えずに、外へ出よう。そこに広がる爽やかな空気は、中とあまりに対照的で、これが旅の途中で出会う美術館の良さであることを実感する。行ってみて、どう感ずるかはあなた次第。 少しは気持ちがキュッとしたら、由緒ある別所温泉あたりで身も心も柔らかくしよう。 今回は特別に冬の写真を付けました。





小海線って、山梨県と長野県を走る高原列車。JR中央線小淵沢駅から八ヶ岳のふもとを走り、浅間山が見えてくるあたり、JR信越線小諸駅の間をとことこ走る気持ちのいい列車だ。途中野辺山というところが線路では日本最高標高地点。夏場に人気があるが、秋や冬も旅情いっぱい、楽しいぞ。
車で行く場合には、中央高速道路の須玉IC、長坂IC、小淵沢IC、のどこからでも山梨県側からはアクセスできる。長野県側からは、関越自動車道の佐久IC下車、清里方面へは141号で。これは風情があっていいドライブ。

清里現代美術館

住所
〒407-0301 山梨県北巨摩群高根町清里3545-3519
電話
0551-48-3903
行き方
小海線の清里下車。歩いて「牧場通り」に出よう。するとすぐ。10分くらい。 レンタサイクルならもっとすぐ。車でもいいよ、もちろん。
インフォメーション
開館時間が季節で異なるの注意。開館時間:4月〜11月は AM9:00〜PM6:00、12月〜3月はAM10:00〜PM5:00だ。 3月〜12月は休みなし。1月は1日〜7日がオープン、それ以外は平日は休館、 つまり土日祝だけオープン。2月も土日祝だけオープン。ちょっと注意が必要。
入館料 800円。中学生以下400円。
     
 とにかくユニーク。「美術が分かんない」という人は、なお分かんなく なる恐れあり。(笑)でも頭で分かんなくても、ここでは体で感じることができる。 「現代美術」というだけあって、割と最近のアート。名前言っても分かんないでしょうけど、 ボイスとか、ライナーとかある。面白いのは音楽が聞けること。時間ごとにオペラが流れたりする。音楽界の奇人、ケージの部屋などあって「何だこりゃ」と思いつつアートを全身で感じることのできる仕組みになっている。チケットを買うと渡される案内図も変わっていて、館長さんの説明も聞くことが可能。画集や美術本買うことないよ。ここに来てみるだけでいいよ。まずアートは感じましょ。あとあまり知られていないせいか、いつでも空いているのが僕は好きだ。
   


清里フォトアートミュージアム

http://www.kmopa.com/
住所 〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545-1222
電話 0551-48-5599
行き方 小海線清里駅下車。でもここは車が便利。レンタサイクルならOK。牧場通り 近くから入っていくのだが、随所に誘導看板がでている。
インフォメーション 開館時間はAM10:00〜PM6:00。休館日が毎週火曜日。 その他今年は12月5〜7日が休み。年末年始もお休み。HPで確認できる。
入場料 800円。学生600円。中高生400円。団体・家族割引あり。
   
 割と最近できた写真専門ミュージアム。ここはいいよ!なんてったって現代に生きる写真家の作品を買い取って見せてもらえるなんて、正に僕好み。 死んじゃった過去の芸術家の名作はもう飽きた。(笑い)とにかく「今」を見ることが できて、そこに若いアーチストのパワーみたいなもんを感じる。うーん、館の作りもいいし、雰囲気もいいし、お茶はできるし、資料もかなりすごい。若いアーチストを支援して いく姿勢もいい。よくある「旅の目的地にあるせせこましい、こじんまりした」 ものと違って、雄大で、スケールを感じる。「写真」の面白さを感じたい人には 絶対のおすすめだ。もちろんここでも余計な知識なんて必要ないよ。必要なのは レンタサイクル代くらいなもんで。企画展もやってる。詳しくはHPでどうぞ。
   


自在舎(八ヶ岳アートファーム自在舎 )


住所 山梨県北杜市大泉村村谷戸5493-1
電話 0551-38-4132
行き方 小海線の甲斐大泉駅下車。清里駅の隣。ここから散歩気分で歩いて20分くらい。 森の中をうねうねたどっていくとたどりつく。車の場合は、甲斐大泉駅を起点にしていくと行きやすい。
インフォメーション 開館時間:AM10:00〜PM5:00。4月〜11月の間は 水曜日が休み。7,8月は休みなし。12月〜3月は冬期休館になってしまう。
入館料 700円。
   
 アート(美術)というより、文学館みたなところ。でもなんで紹介するかというと、このロケーションがいいんだな。南アルプスが目の前にぱあっと広がる その気持ちよさ。と言ったらない。また僕好みの点としては、あんまり知られていないせいか、訪れる人がほとんどいないってものいい。で、何があるかというと、「詩遊館」と「やすらい美術館」のふたつある。 前者は、高原といえば「四季派」、堀辰雄とか立原道造とかの関係蔵書や、彼らの直筆原稿などがある。青春の輝きを文学に求める人にとっては、一見の価値がある。 本当は彼らのフィールドは、軽井沢なんだけれど、八ヶ岳にあっても違和感はないみたい。 後者の美術館は「風土派」といわれる野口晋の作品の常設。 ここに来ると、ほうっ、旅をしとるなって感じる。(でも興味のない人にとっては全くつまらないでしょう。)(笑)できることならば、ひとりで訪れたい。アートの初心者の方にとっては、もし自分で「土こね」とかやってみたいと思っているならば、アトリエもあるから何かと楽しめそう。但し念のため電話で確認すること。 清里にはかなり有名な美術館もあるけど、カップルで来て、有名だからとりあえず入っとこ、みたいなノリでいつも混んでる。僕の持論として、混んでる美術館は大したことない。ガラガラな所に思わぬ発見があるってこと。
   




伊勢志摩は奥が深いが、名古屋・大阪を起点に、JR紀勢本線・参宮線または近鉄山田線でアクセスすることになる。特に近鉄は、大阪・名古屋と賢島を結ぶ伊勢志摩ライナーという乗り心地のいい特急があり、志摩スペイン村へ行く人の利用が多い。車の場合には、東名阪自動車道とその先の伊勢自動車道で一直線。志摩半島に入っていくとなると、車は欠かせない。また、鳥羽と伊良湖岬を約1時間で結ぶフェリーがあり、三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった神島を見ながら海上の旅を楽しむことができ、これはおすすめ。

マコンデ美術館

http://www.media-japan.co.jp/makonde/menu.htm
住所 三重県度会郡二見町松下1799−2
電話 0596−42−1192
行き方 JR・近鉄鳥羽駅下車。バスを利用。3番もしくは6番乗り場から観光バス、または路線バスで、7〜8分、池の浦というバス停で降りてすぐ。車の方が 便利で、42号線沿いに出て、二見方面からは日の出が有名な夫婦岩を越え、鳥羽に向かって行く途中にある。
インフォメーション 開館時間:AM9:00〜PM5:00。休館日は第1・3火曜日。ここが祝日の場合は翌日に振替。6月と12月だけ第2月曜〜金曜が休み。 7月20日〜8月中は無休。
入館料 1000円。高校生800円。中小学生600円。
 「マコンデ」という名称が強烈。これ、すなわち東アフリカの山岳地帯に住むマコンデ族 のこと。伝統的に黒壇を使った彫刻に優れ、見事な作品を作りあげることで知られている。その伝統芸術作品を展示している美術館。が、なんで伊勢志摩にあるの?とお思いの方も いるでしょう。マコンデ族と伊勢志摩、二見町は何の関係もない、やっぱり。そうしたミスマッチ感は旅情美術館にはつきものだ。さて、関西・東海エリアでは少しは 知名度のあるこの美術館、「アフリカンアートミュージアム」などと名づけなくてよかった。ずばり「マコンデ美術館」のネーミングがぴったりだ。そしてネーミング通り の素朴にして力強い内容もいい。プリミティブアートのお好きな方にはうってつけだ。 ただ、強烈なパンチ力でありながら、醒めるのも早いという印象。で、ここから鳥羽水族 館に行って元気のいい魚たちを見ると、「静と動」の対比を感じて、悪くない。さらにミキモト真珠島に行ったりすると、そこはもはやマコンデとは全く違う世界。絢爛豪華 なパールワールド。一粒の真珠の方が、マコンデ彫刻よりも高いんでしょうね、きっと。




新幹線を起点にすれば色々なところに行ける。岡山駅を中心に、倉敷方面にも行けるし、 瀬戸大橋を渡って四国へも簡単。高速道路は山陽自動車道を使おう。

大原美術館

http://iwe.kusa.ac.jp/OHARA/om_op.html
住所 岡山県倉敷市中央1−1−5
電話 086−422−0005
行き方 JR山陽本線倉敷駅下車。なお、新幹線からのアクセスは、新倉敷より岡山の方が便利。倉敷駅から徒歩15分くらい。景観を保存する 「美観地区」にある。車の場合、大原美術館には駐車場がないから美観地区の外側に停めておいて、あとは歩いて行こう。
インフォメーション 開館時間:AM9:00〜PM5:00
毎週月曜日が定休日。年末年始は12月28日〜1月1日まで休館。 
入館料 1000円。学生600円。中小学生500円。団体割引あり。
 さて、仕事をかねてふらりと山陽に来てみれば・・・メジャーなものは取り上げたく ないとは思いながら、やはりここは一筆取らねばと決断させてくれるのが、ここ大原美術館だ。倉敷の美観地区はいつ行っても観光客が多い。だから美術館も人が多いのが難点だが、時間 が許せば何時間でも滞在したくなってくる。いまさら私ごときが何を語っても大した意味はないでしょうが、エル・グレコの「受胎告知」は日本の美術コレクションの至宝 ですね。ソファに座って鑑賞することが可能で、ずっと眺めていると、絵画の意味とか絵画の歴史的意義とかが、言葉じゃなくて波動としてじんわり伝わってく る気がする。生涯のうち一度は訪れてみることを切におすすめしたい。ここを出たら、隣にある喫茶店「エルグレコ」で一休みするのが定番らしいが、私ユウヤとしては、倉敷 の生んだ将棋名人・大山康晴の「大山名人記念館」を推薦したい。将棋に興味のない方は、美観地区を出て街をぶらぶらしましょう。面白いお店が多くて、ストリートハン ティングをするにはもってこいだ。倉敷の本当の良さは美観地区の外にあったりして。
   








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